クロスバイク

2019年5月28日

僕は、移動用にクロスバイクを買った。

白色だったので、スタッフから
そいつは”シロ”なんて呼ばれていた。

そんな、”シロ”の乗り心地は
抜群に良かった。
スイスイ進んで、楽々だった。
 
 
正直、僕は
こんな自転車乗ったことがない!
ぐらいに大袈裟じゃなく思っていた。

この感動を誰かに伝えたい!

聞いてほしい!と思った。
だから、
仕方なくおっさんを選んであげた。
 

今日の話は、そこから展開する。


「おっさん、おっさん!!!
 クロスバイク買ってん!
 これホンマやばいで!
 楽々スイスイやねん!
 ちょ、1回乗ってみて!」
 
おっさんは、食後だったので
爪楊枝を使いながら
シーシー言っている。
シーシーついでに答えた。

おっさん
「いや無理やろ…。僕背低いし…。

 でもどんなんやろなぁー」

僕は興奮気味に言った。


「大丈夫!大丈夫!Mサイズ買ったし。
 なんかあったら”支えてあげる”から
 1回!1回だけ乗ってみて!!
 お願い!!!!」

おっさんは、シーシー爪楊枝を
ゴミ箱に捨てながら答えてくれた。

おっさん
「もぉ~しゃあないなぁ~。
 1回だけやで。でも言っとくけど
 絶対足とどかんからな!
 助けてよ!ぜったい。」

なんとか、僕の”新車”に
試乗してもらえることが決定した。
 
それから二人で、職場の外に出て
”シロ”を迎えに行ってから、
広いスペースに移動した。
 
まずは、僕が乗って手本を見せる。


「こう乗ればええから。まず”シロ”の
 背骨部分をまたいで着地。

 それから、片足をペダルにかけて
 踏み込みながら、サドルに座る。

 ほらスイスイ~~」
 
”シロ”を華麗に運転する僕が
おっさんの前を、
往復して見せる。
おっさんも、
目をキラキラ輝かせて見ている。

そして言った。

おっさん
「すげーーなー!
 ホンマ、スイスイやん。
 ちょ、1回やらせて!やらせて!

 はよ下りて!!もうわかったから。
 スイスイは!」
 
それを聞いた僕は、意地悪して
おっさんの前を更に往復して見せた。

おっさん
「もおええって…
 待ってんねんコッチは…笑」

おっさん、
はよ乗りたくて不機嫌である。

この後に起きる、悲劇にも気づかずに…

ようやく、おっさんの番がきた。

そばには”シロ”から下りた僕がいる。

おっさんは、
さっき僕がやって見せたように
”シロ”の背骨部分に勢いよくまたがった。

(かっこい……)

僕は思った。そう思った矢先、
 
僕のスマートフォンが鳴った。

電話だ。

ちょっとした仕事の電話だった。
1分もないくらいだったかな?

通話した。
その間、
おっさんのことなど見ていなかった。

通話を切ってから、我に返った。

(そういえば…
 おっさんと
 クロスバイクで遊んでたな…)

おっさんに目をやった。

(なんやねん笑、
まだ乗ってないんかい…笑)

おっさんは”シロ”の
背骨部分にまたがったままだ。

横目にプルプルしたおっさんを見つつ
僕は、来ていたLINEを
ついでに返す作業をしようとした。

その時、おっさんが叫んだ。

おっさん
「もう無理、もう無理、
 限界。助けてぇーーーーっ!」
 
僕はビックリして、
スマホからおっさんに視線を変えた。

そこに移った光景は
Mサイズの”シロ”の背骨に、
またがったおっさんであった。


(うっさいな…
 LINE返しとるねん。
 だまれよ…)
 
おっさんが続けて言う。
「足!!足!!!!
 やばいって!
 そろそろホンマ、
 やばいでホンマ!!!」

僕は気だるそうに、
おっさんの足元を見た…
 
バレリーナより
バレリーナしていた。。。

つま先で”シロ”の
背骨部分にまたがり立っている。

いや嘘だ。ごめんなさい。

つま先より、
さらに先の先の先で立っている。

それを見た僕は、すでに爆笑していた。

プルプルしている。

トコトコもしている笑

無理でしょ。
 
考えてみてほしい…

中年のおっさんが、自転車にまたがり
身長足りずに
つま先の先の先で立っているんだよ?

おもしろいじゃないか。
 
そして、ここで!

天使の僕と、悪魔の僕が出てきた。

目の前には、あと数秒で
転倒して、怪我間違いなしの、おっさん。
おまけに新車に傷がつく。
 
天使は言った…

天使
「助けてあげなさい、さすれば
 怪我もなく…傷もつかない…」
 
悪魔は一言だけ言った…

悪魔
「おもろいやんッ!」
 
僕は悩んだ。

でも、初めから
答えは決まっていた。


(おもろいやんッ…)

そのまま、トコトコおじさんを
観察することにした。
 
おじさんは、必死に叫んでいる。

おっさん
「やー。やばい笑。
 もうあかん。笑
 助けてって。」

トコトコ…フラフラ…
おもしろかったので、

おっさんの叫び声に合わせて
リズミカルに
”チリンチリン”を鳴らしてみた。
 
おっさんは言った。

おっさん
「そ…そ…
 そんなんいらんねん…
 
 ふ…ふっ笑」

 はよぉ~!!怒」

助けてもらう側が、キレてきた。

少しばかりイラっとしたので
ひとまずLINEを
再び返そうとスマホに目をやろうとした。

おっさん
「おねがーいいい!!!!」

そこまで頼まれては仕方がない…

不満げに僕は”シロ”を支えてあげた。


(だるッ…笑)

おっさんを見るとホッとしている…
顔に余裕が少しだけ戻った。
 
そして
おっさんは、ようやく地面を蹴って
またがっている
”シロ”から逃げ出そうとしていた。

でも、地面に接しているのが
足の先の先すぎて
蹴れないみたいだった。

だから僕はまた、
”チリンチリン”を
鳴らして遊んでいた。
 
おっさんは急に
ひらめいた顔をした!!!

どうやら、
僕が”シロ”を支えているんだから

足の先の力を抜いても
大丈夫だと思ったみたいだった。

”シロ”にまたがってから、
一番安心した顔をしている。
 
次の瞬間、おっさんは
勢いよく、足の先の力を抜いて
両足で地面に着地しようとした。

僕はその光景を
スローモーションのように見ていた…

着地する?と同時に

中年男性の悲鳴が聞こえてきた。

おっさん
「ひぃ~~~~っ、ほっ!ほっ!」

”シロ”の背骨に、
おっさんの”股間”が
食い込んでいた…

僕 
(何してんねん……苦笑)

僕はあきれていた。

自分では、
どうすることもできずに
股間を食いこませている
中年男性を横目に

僕は
”チリンチリン”を
リズミカルに
再び鳴らし始めたのであった…笑

ではまた次回。

 

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おっさん
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身体は小さく、うすらハゲ。足関節が固い。
とにかく天然。やさしさの塊、そして、色黒。
O型。めんどくさがり、犬好き。牛かわいい。
剃り込みがあり、カフェインが苦手。
年齢先輩、職場後輩。
etc…


20代後半のアラサー
小太りで一般的な身長。
口が悪く、猫背。
B型。効率主義。犬好き。
年齢後輩、職場先輩。
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