海の見えるカフェ(後編)

2019年5月28日

バタンッ!

助手席のドアが閉まると
車が目的地に、向けて出発した。

海の見えるカッフェ…

失礼。

海の見えるカフェ…
までの道のりは

職場から大きな道路に出て、
海側へと進む。

途中、細い道に入り住宅街を抜けると
そのカフェはあるようだった。

夕方ということもあり、
大きな道路が少し混んでいた。

でも、おっさんと、
たわいもない話をしていたので
あっという間に到着したように思う。

ウッドテイストな白い建物が
目に入ってきた。

潮風によって
所々が劣化してはいるが
あきらかに、
周りの雰囲気の中で浮いている。


(これがインスタ映えのカフェか……)

こんなことを、僕が思っていると

おっさんがその建物の前にある、
広い駐車スペースに車を止めてから
ドヤ顔で言った。

おっさん
「オシャレやろ?」

特に理由はないんだけど…
僕は、なんでだろう…
めちゃくちゃイラっとした笑

だから、助手席のドアを開けたまま
入口へと向かった。

少し後ろのほうで、
半笑いのおっさんがつぶやいていた。

おっさん
「ドア…、ドア…、ドア…」

振り返って、僕は
「あ!ごめん!」
って顔だけして
おっさんにペコっと頭を下げた。

でから、そのまま、おっさんが
少し前にいる僕に追いつくのを待った。

おっさんが言った。

おっさん
「いやいやいや…閉めに来いよ!笑 
 言っとくけどな、
 まだそっちのほうがドアに近いからな笑」

僕は、不満げにドアに近づき
半笑いでドアを閉めた。

入口付近に向かうと、
おっさんがいた。

ここは、後輩らしくドアを開けて
おっさんを待って
先に、入ってもらおうと急いだ。

ちゃんと思ったよ。

思っただけでやってないけど。

おっさんが入口の扉を
自分で開け先に中に入った。

開けた扉を放しやがったので
僕は、少し重たかった扉を
自分で開けて入った。

目の前には夕暮れ時の
オレンジ色をした
オーシャンビューが広がっていた。

ちょっと見とれていると
二種類の声がした。

店員さん
「いらっしゃいませー。
二名様ですか?」

おっさん
「な?な?すごいやろ?
インスタ映えやろ?な?な?」

店員さんに、
隣の無邪気がすみません…と
頭を下げつつ
指でピースのサインを軽く作り
二名であることを、僕は合図した。

少し苦笑いの女性の店員さんが
海を一望できるカウンター席に、
案内してくれた。

席に向かう途中も、
隣の無邪気はいろいろ言っていた。

おっさん
「水槽もあるやーん。

 魚やーん

 オシャレな内装やなー

 トイレどこや?」

喉まで、「1名です。」って
言いなおそうかと
言霊が出てきていた。

席に着くと、メニューが置いてあった。

サイトでみたとおりの、
インスタ映えのする、
食べ物や飲み物もあった。

海に、ちなんだものだったかな?

まあ、夕方だったので
僕はインスタ映えもしないけれど
コーヒーを頼むことにした。

隣の無邪気はというと
2ページくらいしかない
メニューをペラペラしていた。

さっきの店員さんが来て、
飲み物を聞いてくれた。


「コーヒーブラックで」

店員さんが言う

店員さん
「かしこまりました。」

僕が言い終わると、
おっさんが続けて言った。

おっさん
「カルピス…ホットで」


(ちょっと…
 コーヒーっぽく
 言いよったな笑)

店員さんが言った。

店員さん
「ごめんなさい。
 カルピスホットないんですよ~。

 他あるホットがこちらになりますー」

おっさんは、
仕方なく気を取り直して言った。

おっさん
「じゃあ…リンゴジュースで!」


(??????)

僕はてっきり、冷たいカルピスか
違うホットを言うと思っていた。

おっさんを甘く見ていた…

虚を衝くとは、まさにこのことだ笑


(やっぱ、うちのエースは違うな…苦笑)

店員さんがメニューを通してくれて、
厨房のほうへと向かっていた。

厨房は僕から見て左にあった。

右にはおっさんがいる。

目の前には、
オレンジ色の海がきれいだった。

海の見えるカウンター席は
僕とおっさんが中央にいて、
右側には、別のお客さんが座っていた。

左側には、誰もいなかった。

おっさんが言った。

おっさん
「ちょ、トイレ行ってくるわ!」

僕から見て真後ろにあるトイレに
おっさんが向かっていた。

ようやく、
落ち着いた時間を迎えた僕…

静かなBGM のなか、
ぼーっと海を眺めていた。

しばらくして、
おっさんは戻ってきてなかったけど
ドリンクが運ばれてきた。

どおせ、また
お腹痛くなってるんやろと
おっさんの到着を、
待つこともなく
先に、ドリンクに口を付けた。

インスタ映えがする
カフェというよりも
なんだかすごく落ち着く
ようなカフェであった。


(あれ……
 さっきまでの
 静けさどこ行ったんかな…)

おっさん
「水槽!水槽!あれもすごいなー。
 トイレの横にあるで。
 めっちゃでかいし。
 めっちゃ魚おったわ。」


(でかい水槽に
 魚おらんかったら…
 ただの水やないか…)

それからは、
リンゴジュースを飲むおっさんと
時期も時期だったので
めずらしく集中して、仕事の話をしていた。

お互いのドリンクは、
底が見えてきていた。

このまま、ここで晩御飯
済ませちゃおう…ということになった。

再びメニューに目を通す。
僕は無難なパスタを頼んだ。

インスタ映え意識男は、
おススメの
”ナンタラカンタラ”を頼んでいた。

ちょっとした演出が
あるらしいメニューだった。

注文をさっきの
店員さんに伝え終えると

その女性は、厨房のほうへ
向かって行った。

僕は、厨房側の
カウンターにさっきと違う異変を感じた。

将棋盤が置いてあった。

知らない間に、
新しいお客さんが来ていたみたいだった。

おっさんはというと、
仕事の話も落ち着き
スマホをいじっていた。


(せっかくやし、海見とかななー)

僕は、オレンジ色した
きれいな海を再び見ようと
目の前に広がる
オーシャンビューに目をやろうとした。

でも、見えなかった。
というか真っ暗だった。

あ、ごめん。違う。

おっさんが映っていた。

多分夜になってしまっていて、
店内がガラスに反射していた。

だから、目の前に広がっていたのは
おっさんビューであった。

鏡みたいになっていた。


(なんか違う…笑。
 こんな景色いやだ。笑 
 どこ行った僕のインスタ映え…)

バタン!

扉の閉まる音がした。

音のほうへ、振り向くと
トイレから出てきた 、
また違う”おっさん”がいた。

そのおっさんが、
スタスタ席に戻るのを見ていた僕。

あの”将棋盤”の前に座った。

ここで考えてほしい。

右側には、いつものおっさん。

左側には、将棋のおっさん。

正面には、おっさんビュー。

現在将棋でいうなら、王手である。

あと後方を埋められたら、
全方位おっさん囲みの完成である。

何がインスタ映えだ。

おっさんだけじゃないか。


(なんなんやこのカフェ…笑)

僕の前に、パスタが届いた。
さっきの店員さんだ。

ホッとした僕がいた。

続けて、おっさんの
”ナンタラカンタラ”も届いた。

その店員さんが、おっさんに言う。

店員さん
「このままで、
 しばらくお待ちください…」

おっさんが、
ワクワクしながら目を輝かせていた。

僕はというと、
なんだか体力をおっさん達に
吸われてしまっているような気がして
ぐったりしていた…

後ろから声がした。

店員さん2
「おまたせしました。少し失礼します…」

ゴーーッ!ゴーーッ!

おっさんの”ナンタラカンタラ”に
バーナーで火がつけられた。

キレイに焼き目が付いて溶けていった。

なんか料理の説明をしている。

声の主は、多分低い声だったから
料理長かなんかでしょうね。。。

僕、詰みました。

今日初対面のおっさんが出てきて
おっさんを料理で驚かせている。

これ、インスタ映えね。

僕は、新しい
おっさんの登場に驚いている。

これ、おっさん萎えね。

ここテストに出るから
ちゃんと覚えておくように…

要するに、僕は
インスタ映え間違いなしの、
海の見えるカフェに来ていたはずが

おっさん萎え間違いなしの、
おっさんの見える
カッフェに来ていたみたいだった。

また次回。

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おっさん
40代半ば
身体は小さく、うすらハゲ。足関節が固い。
とにかく天然。やさしさの塊、そして、色黒。
O型。めんどくさがり、犬好き。牛かわいい。
剃り込みがあり、カフェインが苦手。
年齢先輩、職場後輩。
etc…


20代後半のアラサー
小太りで一般的な身長。
口が悪く、猫背。
B型。効率主義。犬好き。
年齢後輩、職場先輩。
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はなこ
チワワ。美しいふわふわの毛並み。
美人さん。めったに怒らない。
人懐っこく、優しい性格。
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