はなことの出会い
しじゅう手前のおっさんが
初めて一人暮らしをする
理由は
犬飼いたいから
のみ
本当にそれだけ
犬を迎える事を両親に反対されたから
小学生レベルの理由である
小学生ならそこで
泣き寝入りだ
でもおっさんは小学生ではない
しじゅう手前だ
犬一匹とおっさん一人くらい
食っていくだけの生活費はある
年老いた親を捨てて出ていくのかと親父に言われたが
寂しいって事を伝えたかったんだろう
まったくもって不器用な親父だ
でも僕が引っ越した瞬間
僕の使っていた部屋を自分の趣味部屋に速攻変えていた
気持ちの切り替えの早さにちょっとびっくりしたけど
心置きなく出ていけたので
ありがたかった
次はパートナー探しだ
僕は次に迎え入れる子も
絶体ビーグルと決めていた
そして保護犬を迎え入れる事も
保護犬サイトを片っ端から見まくり
ビーグルを見つけては連絡をしていた
ただやっぱり条件は厳しい
考えたら当たり前だった
保護犬は何らかの理由で
飼い主に捨てられたり
保健所に連れて行かれたりした子ばかりで
心に傷を負っている
次に迎え入れる所は
確実に幸せに暮らせる条件じゃなければ里親になれない
僕は一人暮らし
僕の仕事中は留守番時間が長くなり
寂しい思いをさせてしまう
そこがネックになり
問い合わせただけで却下されてしまう
保護主さんが犬の事を第一に考えて審査している
素晴らしい事だしありがたいと思う
でも犬との生活は諦めたくない
久しぶりに
マメタロウと出会ったペットショップに足を運んでみた
生後2、3ヵ月のパピー達が
ショーケースに並んでいる
もちろんその中に
意中のビーグルもいた
僕はまだまだ幼い顔のビーグルの前に立ち夢中で覗きこんだ
可愛いなー
マメの小さい頃を思い出す
ビーグルの前でニヤニヤしていると
何か視線を感じる
僕は構わず
小さな愛くるしいビーグルに釘付けだった
それでも視線は僕に向かって
一直線に刺さってくる
ビーグルから少し視線を外し
刺さってくる目に方向を変えた
少し成長した子達がショーケースから出されて
お客さんと触れあえるように
ゲージに入れられている
上から触れる様に側面だけのゲージ
そのゲージに前足を掛け
立ち上がって僕の方を見ている子がいた
チワワだった
目が合った瞬間
ちぎれんばかりにシッポを振り
後ろ足が何度か宙に浮いて
全開アピール
僕は一度目を反らした
目の前には
垂れ耳の可愛いビーグルがいた
やっぱりビーグルやなー
考えながらも
チラチラ視界に入ってくる
チワワ
僕が目を反らしても
ずっと僕を見ている
視界に入ってきてしまう
細い後ろ足だけで立ち
一生懸命僕に視線を向けている
負けた
ビーグルのショーケースから
チワワに向きを変えて歩きだす
一歩一歩僕が近づく度に
シッポをふる速度が早くなる
そして宙に浮く後ろ足も激しくバタバタ
耳もペタンと後ろに垂れ
全身で喜びを表していた
ゲージに手を入れた瞬間
チワワの喜びの舞い
僕の手に嬉しそうにじゃれつき
遊びだした
かわいい
素直な感情だった
ふとチワワの詳細が書いてある紙に目を向ける
生後6ヵ月
パピーといえばそうだろうが
ペットショップのなかでは
なかなかの滞在期間
チラッとビーグルに視線を送り
決めた
一緒に帰ろう!
初めて一人暮らしする
しじゅう手前のおっさんは
チワワをパートナーに選び
というか
チワワに選ばれ
はなこ
と名付けた
マメタロウが虹の橋を渡って
7日目
はなこがこの世に生を受けた
運命なのか
はなこのお母さんの
誕生日は
僕の誕生日と同じ
運命だな…
また次回。
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おっさん
四十代真っ只中。
身体は小さく、うっすらハゲてきている。足関節が固い。
とにかく天然。はなこという、チワワを飼っている。
O型。めんどくさがり、犬好き。
年齢先輩、職場後輩。
etc…
はなこ
チワワ。美しいふわふわの毛並み。
美人さん。めったに怒らない。
人懐っこく、優しい性格。
etc…
マメタロウ
おっさんが飼っていた先代の犬。ビーグル。
めちゃめちゃ賢くて、優しい性格。
おっさんの車の助手席が定位置。
リードが外れても、じっと信じて待てる性格。
etc…