早起き前田くん

2019年5月28日

その日は1日雨だった。

雨音だけの
外の静けさだったので

僕は
パソコンを
夢中でいじっていた。
ふと時計に目をやった
時刻は深夜2時だった。

(もう…こんな時間か…)

         

たくさん立ちあがっている
タブを1つずつ
閉じていき
シャットダウンをした。

その後
洗面台へと向かい
歯磨いてから
寝床へと進んだ。

布団に入ってから
すぐには寝つけず
スマホを
ちょっとだけいじった。

多分その時
2時半ごろだった。

あたりは
当然真っ暗で
静かな夜。

さすがにそろそろ
ウトウトしてきた。

その時

車の音がした。

どうやら

下の階の人が
帰ってきたみたいだ。

静かな夜が少しだけざわついた。

その後
車のスピーカーと
スマホを連動させて
通話し始めた。

        

下の階の人
「今日は
  ありがとうございましたー!!!!」

         

デカイ…
とにかくデカい声だった…

更にスピーカーで
余計にデカくなっている声…

おそらくだけれど
車のドアを開けたまま
通話しているので

近所迷惑のレベルを超えるくらいの
大きさだった。

      

(はぁ~。。寝れないなぁ…)

        

そんな僕を気にすることもなく
というか
出来るわけもなく…
下の階の人は通話を続ける。

          

下の階の人
「ご馳走なってしまいまして…
 また!よろしくお願いしますー!!!」

        

どうやら…飲みに行っていたようだ。
そして、ご馳走になったっぽいことが
わかった。

そして多分まあまあ酔っている。

だから、近所迷惑にも気が付いていない…

しばらく
どでかい声で通話し続けた後…

家の扉を開く音がして

ガンガン
ドンドン
バンバンと物騒な生活音を
立てながら

おそらく家に入っていった。

家に入ってからも
ドンガラガッシャン♪
ドンガラガッシャン♪
ドンガラガッシャン♪

だった…


(まあまあ酔ってるな…寝れないぞ…)

ひたすらに耐えた僕。

僕も普段から夜は
酔っていることが
ほとんどなので

お互い様と思うと
不思議と怒りとかは
湧かなかった。

ただ…眠たいけれど
寝れなかった…
明日仕事なのに…
無理やりにでも寝ないとな…
ぐらいな感じだった。

それからしばらくして
ピタッと生活音がやんだ。


(寝たかな? やっと寝れそうや…)

布団をかぶりなおして
寝返りをうち

仕切り直した。

でも、ちょっと
気が立っていたのか
なかなかすぐには
寝付けなかった…

スマホの時計に目をやると
3時半ごろだった。

寝ないと…寝ないと…
って思えば思うほど
寝つきが悪かった。

そこへ
再び車の音がした。

家の前でその車は止まった。

バタンッ!!!!!

ドデカい、車の扉を閉める音がした。

何歩かドスドスと
歩く音がして
下の階の人の車の前あたりで
止まった。

ドンドンドンッ!!!!

これまた、近所迷惑なほどの
パワーで
下の階の人の車を叩き始めた。

男の人だった。

その男は
車を叩きながら言った…


「前田くーん。前田くん。
 起きてー!!!!」

        


(また…なんか変なん来た笑 寝れない…)

       

ちょっとだけ静けさが戻った。

と…思ったら


 ドンドンドンッ!!!
「前田くーん。前田くん。
 起きてー!!!!」

 ドンドンドンッ!!!
「前田くーん。前田くん。
 起きてー!!!!」

 ドンドンドンッ!!!
「前田くーん。前田くん。
 起きてー!!!!」

ずっと続く
深夜3時過ぎの
どデカいモーニングコール。。。。

        


(勘弁してくれよ…笑 
 前田くんは今さっき寝ました笑)

        


 ドンドンドンッ!!!
「前田くーん。前田くん。
 起きてー!!!!」

 ドンドンドンッ!!!
「前田くーん。前田くん。
 起きてー!!!!」

 ドンドンドンッ!!!
「前田くーん。前田くん。
 起きてー!!!!」

        


(多分酔ってたので起きません…
 はよ帰ってください…笑)

         

そんな僕の気持ちを気にすることもなく
響き渡る深夜のモーニングコール。

            


 ドンドンドンッ!!!
「前田くーん。前田くん。
  起きてー!!!!」

 ドンドンドンッ!!!
「前田くーん。前田くん。
 起きてー!!!!」

 ドンドンドンッ!!!
「前田くーん。
  傘もってきたでー!!!!」

          


(???????????)

          


 ドンドンドンッ!!!
「傘もってきたでー!!!!前田くーん。起きてー!!!!」

 ドンドンドンッ!!!
「前田くーん。前田くん。
 起きてー!!!!」

 ドンドンドンッ!!!
「前田くーん。
  傘もってきたでー!!!!」

         

めっちゃうるさいんやけど…
どうやらいい人みたいだった…

下の階の前田君(仮名)が
傘を忘れたこともわかった。

届けに来てくれたみたい。

深夜の3時半くらいに…

          


(笑。多分この人も酔ってるな笑
 さっきの、前田君との電話の相手かな?
 とりあえず寝させてくれ…頼むから笑)

      


 タン♪タタっ♪タンタン♪ 
 タンっタンっ♪

「前田くーん。前田くん。
 起きてー!!!!」

           


(なんでリズミカルやねん…笑)

            

こんな時間がしばらく
続いた。
体感では、めっちゃ長い時間だった。
寝たかったから…。

            


「あれ?おきひんなー前田くん。。。
 傘どうしようかなー?
 んんー。
 あ!前田くんの車の下に
 部屋番号書いてあるわ!!
 ここか!!!」

一瞬で
嫌な予感がした僕。

車の下には確かに
部屋番号が書いてあるんだけれど
何年も
部屋番号が書き換えられていないので
そこには”201”って書かれてあるんだ。

正確に言うとその部屋番号は
僕の部屋ではない。
けど、僕の部屋の下に
前田くんの車は止まっている。。。

           


(く…く…来るかもな…苦笑)

          

再度
簡単に状況を説明しておくね。

まず、寝ようとしていた僕がいて
そこへ
下の階の前田くんが
飲み会から帰ってきた。

しばらくして
寝てしまった前田くんの所へ
飲み会に同席していた人が
前田くんの忘れた傘を届けに来た。

だけど
届けようにも
マンションまでは知っていても…
部屋まではわからないから
前田くんの車を叩いて
前田くんを起こそうとしていた。

でも、なかなか起きない前田くん。

どうしようか酔っていながらも
考えた傘届け人は、
前田くんの車の下にある
部屋番号を発見した。

ただ…
前田くんの車は
前田くんの家の前に
止まっているんだけれど
1階だ。

その上に僕が住んでいる。

そして今まさに
傘届け人が
階段を上ってきている。

               

↑↑↑↑
今ここ。

               

静かな深夜。
雨音もやんでいた…

             


 ドンドンドンッ!!!
「前田くーん。前田くん。
  起きてー!!!!」

 ドンドンドンッ!!!
「前田くーん。前田くん。
 起きてー!!!!」

 ドンドンドンッ!!!
「前田くーん。
 傘もってきたでー!!!!」

        

今度は僕の部屋のドアを叩き始めた
傘届け人。。。。笑

ちゃんと深夜のマナーは守って
インターフォンは鳴らさない。

けど、叩くのはオッケーみたい…

           


 ドンドンドンッ!!!
「前田くーん。前田くん。
 起きてー!!!!」

 ドンドンドンッ!!!
「前田くーん。前田くん。
 起きてー!!!!」

 ドンドンドンッ!!!
「前田くーん。
 傘もってきたでー!!!!」

          


(やっば笑 もうホラーやん笑)

          


 ドンドンドンッ!!!
「あれ?おかしいなー
 ここちゃうんかなー?」

          


(そうや笑 ちゃう笑 
 コチラらむとくんです。)

           


 ドンドンドンッ!!!
「前田くーん。前田くん。
  起きてー!!!!」

         


(らむとくん。らむと君。コチラは…
 らむとくんでーす。
 お帰りくださーい笑)

            


 ドンドンドンッ!!!
「前田くん。起きてー!!
  傘もってきたでー!」

         


(知ってまーす笑 
 もう何回も聞いてまーす笑
 コチラらむとくんでーす笑)

        

もうね。
だれか通報してよと笑

叩かれている僕が通報できないやん。

その後のもしもの報復とか怖いやん笑

酔ってるみたいやし。。

しばらくして
諦めたのか
ようやく
帰っていった。


「傘置いとくねー」って言いながら…


(いや、もっと最初の段階で置いといてよ…
 しかも、そこ僕の家やから…
 あとあと気まずいから。
 車のとこ置いてよ…苦笑)

スマホの時計を見ると
朝の5時くらいになっていた。

これは
いつも通りの出勤時間に
仕事へと
さすがに行けないなと思ったので

僕は
いつも早起きのスタッフに
LINEでさっきの状況説明をした。

それで
2時間だけ
遅れて出勤することを
お願いした。

ようやく訪れた
念願の睡眠時間。

なんだかよくわからない
達成感と共に
夢の世界へと旅立った。

寝起きはというと
すこぶる悪かった笑

でもしゃあないなーと
自分で自分を鼓舞しながら
身支度を済ませて

仕事に向かおうと玄関を出て
前田くんの傘を
手に取り階段を下りた。

          

前田くん
「おはようございますぅ~」


「あ。おはようございますー」

          


(前田くん…早起きやん笑)

僕は
返すタイミングを逃した
前田くんの傘を
手に持ったままだった…

後日適当に
その辺の
前田くんゾーンに
ぶら下げておいたけどね。

また次回。

     

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