三好君の自転車の前カゴを剥ぎ取ったのは誰ですか?スピルバーグですか?

今日は僕が
中学生だった頃の話。

確かその日は
夏休みの終わりで
受験を控えた僕たちは

塾で講義を受けた後に
夏の集大成の実力テストがあった。

これが
進路を選ぶ基準になるみたいで

各自その日の講義のテキストと
実力テスト対策の教科書で
それなりに大荷物を
持ってきていた。

講義が終わり
昼休憩をはさんだ後
実力テストが始まった。

みんな
頑張っていた。

そのまま何事もなく
テストが終わって
みんな解放感に満ちていた。

この夏一番の
山が過ぎ去ったからだ。

それから早々に
同じ学校の何人かで
自転車に乗って
帰宅することになった。

駐輪場までやってきた
僕たち。

そのとき
友人の三好君が叫んだ。

三好君
「なんでやねーーーーん!!!!笑
 おいっ!!!おいっ!!!おいー(;・∀・)」

三好君の叫び声に
みんなが異変を感じて
すぐさま
三好君と
三好君の自転車の方へ駆け寄って行った。

みんな
「どうしたん?どうしたん?三好君!」

そこには
立ち尽くす
三好君がいた…

三好
「なんで…
 なんで…
 こんなとこが無くなってんねん笑」

よくわからない
テンションの三好君をよそに

冷静な僕たちは
三好君の目線の方に目をやった。

するとそこには
前カゴが不自然に剥ぎ取られた
三好君の自転車があった…笑

三好君の自転車の
前カゴは
底面とハンドルに一番近い面を
残して

カゴを形成する
左右と前側の面の
網網が
どっかにいってた笑

三好君
「なんでやねーーーーん!!!!笑
 カゴどこ行ったーーーー笑」

とりあえず
僕を含むみんなは
なんて声をかけるのが
正解か…

さっきのテストより
断然難しい
難題だったので

苦笑いをしていたと思う。

サドルが無くなっていたとかは
聞いたことがあったけど

カゴの側面を剥ぎ取られたってのは
初めて聞いた笑

しばらくして
三好君のカゴの一部を
みんなで
探して回ったんだけれど

ここで
当人が
大事なことに気付く…

三好君
「これ…
 もしカゴ出てきても
 もう無理よな…
 接着剤でもない限り
 ひっつかへんよな…笑
 絶対。。。(;・∀・)

 あ~~~~~
 もういいわ笑

 この手提げは
 ハンドルに通して
 カゴに乗せて帰るわ。

 もともと錆びて
 カゴ取れそうやったし
 
 みんなありがとう!

 帰ろ~」

まあ…
本人がそう言うならと

僕たちは
犯人が分からないので
どこか
消化不良のまま

塾の駐輪場から
前方グループ
後方グループに
分かれて
帰ることになった。

僕は
前方グループにいて
友達と
テストのことを
話しながら
帰っていた。

そのうち
少し距離が開いていた
後方グループのメンバーが
奇声を上げながら
僕たちを

すごい勢いで
抜き去って行った。

グングン加速していく
後方グループ。

偶然にも
その帰り道は

車通りのあまりない
ただまっすぐな
見晴らしのいい
ストレートだった。

僕たちのグループを抜き去り
更にグングン
グングン加速していく
後方グループ。

その中に三好君はいた。

少しずつ
三好君たちが
小さくなっていく…


「あいつら、またレースやってるで笑
 どうせ今日も三好君が勝つんやろな笑」

そう。
この自転車ストレートコースにおいて
三好君は絶対的王者だった。

ほとんど負けなし。

何故なら
いつも三好君が
レースの言い出しっぺで
スタートの合図も
彼が急に言うからであった。

つまり
三好君次第の三好理不尽レース笑

ただそれでも
友達の中には

打倒三好を
狙うものも多かった。

話しは戻って
離陸前の飛行機のように
圧倒的スピードで
他を寄せ付けない三好君。

が…

その時!!!!!!!!


「う…う…うそやろ苦笑(;・∀・)」

僕の目の前には
衝撃的な光景が広がった。

圧倒的大差で
レースに勝利しているために
自信満々で笑顔満点の
三好君が

僕たちの目の前で
自転車ごと
ものすごい勢いで
綺麗な前方宙返りした…

もちろんハンドルは握ったまま…笑

ものすごい勢いで
間違いなく
前方宙返りをしたんだけれど

そこにいた
友達みんなが
空中でひっくり返っている
三好君と不思議と
スローモーションのように
目が合っていた。

そのときの
三好君は

めっちゃ笑っていて…

そして
勝ち誇っていた…

俺が今日もチャンピオンだと…

すでに
パイルドライバー状態だったけど…

ドカドカドカドカ~~~

ものすごい
けたたましい音と共に

次に
僕たちの前に広がった光景は

ひん曲がった自転車と共に
道路に
直立うつ伏せ状態の
三好君だった。

みんな
「みよし~~~!!!!」


「爆笑」

三好君の元へ
すぐさま近づく僕たち。

みんな
「大丈夫か?三好(;・∀・)」


「爆笑」

三好君のひん曲がった
自転車は横たわりながら
力なく車輪が動いていた…

三好君
(…ピクっ…ピクっ…ピクっ…)

ものすごい音がしたけれど
どうやら
三好君は
生きていたようだ。

かすかに
動いていた。

シーン。。。。

夏なのに
セミの鳴き声も聞こえずに
ここだけが特別静寂の中

むくむくっと
直立うつ伏せ状態から
ゆっくり
起きあがり…
顔を上げる三好君。

三好君
「なんでやーーーいたい!!
 めっちゃ痛い!!!!
 (;´Д`)」

顔を上げた
三好君は

いうなれば

血だるまだった。

ホント血だるま。

血まみれじゃないよ。

血だるま。

~~~~~~~~~~~~~~~

立ちこぎで
必死に
ハンドルを手前に引きながら
グングンと加速する三好君。

三好君は
そんなに賢くない。

何事も
形から入るタイプだ。

本日はテストだったので
手提げカバンには
全教科の一番太い
教科書が入っている。

その手提げカバンの重みは

本来の三好君の
トップスピードを妨げる。

そしてハンドルを
手前に一生懸命に
引いていたので

ドライビングにも
影響した。

前カゴの底面から
ずり落ちる
手提げカバン…

当然
落ちないように
ハンドルを通してから
底面に乗せていたので

手提げカバンの落下は
防げた三好君。

ただ…

ハンドルに
引っかけていたもんだから

誰かに
前カゴの側面と前側を
剥ぎ取られてしまっていたもんだから

手提げかばんは
無事に問題なく

トップスピードの
三好君の
自転車の前輪へと
吸い込まれていき

急ブレーキが起きた。

慣性の法則とでもいうのかな…

前輪だけが
急停止した
三好君の自転車の
トップスピードエネルギーは

回転力へと変貌を遂げ

結果として
文句の付け所がない
前方宙返りをした。

前カゴに乗せたのが
ETだったら空を飛んで
行けたかもしれないけれど

ほぼ新品状態の
教科書が詰まった
手提げかばんだったので

離陸後すぐに
スピルバーグが描いた展開よりも
はるかに早い段階で
墜落することになった。

~~~~~~~~~~~~~~~~

次の日
三好君は
包帯グルグル巻きで
元気に登校してきた。

結局、あの後
別々に家路についたっきりだったので

僕は大丈夫?笑
と、声をかけようとしたんだけれど

その僕を遮って三好君の方から
先に話しかけてきた。

三好君
「この怪我さ…女子とかには
 ケンカしたって言ってな!!!」


「……笑。 お…おう…
 てか、大丈夫なん?」

三好君
「男たるもの、ケンカの1つや
 2つあるもんやろ?笑
 大丈夫や。」


「その怪我は…
 誰が見ても大怪我やから…
 多分そのケンカ
 負けたって思われるで?笑」

三好君
「あ…そうか(;・∀・)」

また次回。